日本サッカーの決定的にたりないもの ~戦術とインテンシティ~
戦術とインテンシティ
先日のバルサ、リバプールのジュニアチームの来日において現段階でのU12年代で世界との違いをまざまざと見せつけられた日本サッカーですが、僕自身が今回日本でサッカーに触れたことによって気づいたことがあります。
今日はそれを述べたいと思います。
それは日本と世界レベルのサッカー選手・チームのパフォーマンスに決定的な違いが2つあるということです。
何かというと戦術とインテンシティの2つ。
僕が見たバルサvsヴェルディ、vsセレッソの2試合ではそれがまさに大きな違いとなっていました。
一部の報道では、「フィジカルの差があったから勝てないのは当然だ」という意見があります。
しかし僕はそうは思いません。
もちろんフィジカルの優位性は主導権を握る大きな要素の一つではありますが、それがすべてではありません。
スペインにおいては育成年代で黒人選手がプレーしていて圧倒的なフィジカル能力を武器にしてかれらはプレーしていますが、フィジカルで劣るスペイン人は彼らと同等にプレーをして黒人選手と抑えているのも事実です。
フィジカルを言い訳にしてしまう日本人(日本人指導者)と、他の能力でフィジカルのハンデをどうにかするスペイン人(スペイン人指導者)。
ここにも違いがあるわけです。
僕個人の視点では日本人は大人になった時にもフィジカルのハンデ(高さ、強さ)を抱えて戦わなければいけないのですから、子供のうちにもその条件で戦ってその中で評価を下すべきだと思います。
国際舞台に立った時にはそんな言い訳は通用しませんからね。
ではそれをどうやって抑えているかというとその答えが「戦術とインテンシティ」なのです。
スピードのある選手に有利な状態でプレーさせないために先読みしてインターセプトする(戦術)。
ボールが渡ってしまったらものすごいアグレッシブな姿勢を見せて気迫で相手を意気消沈させる(インテンシティ)。
と言ったことが、小さな差ですが大きな差になるのです。
戦術
この部分は日本人は世界の中で非常に大きなアドバンテージを持っています。
それはなぜかというと、日本人はまずは物事を理解する能力が非常にハイレベルであるということ。
スペイン人、黒人と比べても絶対に日本人のほうが能力は上です。
今回の夏のクリニックでは複数のチームを指導してとても面白いことに気づきました。
それは、進学校と言われる比較的知的レベルが高いチームの方がパフォーマンスに大きな向上が見られたということ。
僕は今回のクリニックは主に戦術トレーニングを中心に進めていきました。
戦術トレーニングに欠かせない要素に理解力と記憶力、そして応用力があります。
そして味方と論理的に会話ができるコミュニケーション能力、言い換えれば社会活動が可能な他人との関係を発展させていける能力があることも大事です。
進学校のような知的レベルが高い高校のチームはこの能力が高く、戦術トレーニングで成果を上げるに必要な条件がそろっています。
これを国際レベルに当てはめると日本は世界の中では「進学校」のグループに入るわけで、パフォーマンスの向上が見られる可能性を大きく秘めているのです。
では、なぜ戦術的にパフォーマンスが高くないのか?
答えは簡単です。
それは選手が学ぶ機会がないからです。
日本の小学生年代では戦術トレーニングは敬遠されがちな環境にあります。
サッカーは紛れもなく戦術のスポーツです。
コンフェデで優勝したブラジル、個人の能力に注目が言っていますが個人戦術、グループ戦術で高いパフォーマンスを見せたから勝ったのです。
決してテクニックがあったから、ひらめきがある選手が集まったから勝てたわけではありません。
ちなみにひらめきでさえも「戦術の記憶」があるから出てくるものです。
サッカーという戦術のスポーツをプレーするのに、戦術トレーニングが行われていない。
しかも、日本人のポテンシャルを見事に放棄してしまっていてどうやって世界で日本人らしいサッカーでトップを取るのでしょうか?
せっかく我々の日本人の武器である「知的レベルの高さ」を活かすために、積極的に小学生から戦術トレーニングを導入してはどうでしょうか?
そのためには、現場に立つ指導者がサッカーの戦術とはの真意を理解する必要もあります。
もっともっと勉強しなければ世界からはどんどん追い放されていってしまいます。
欧米では有能な人間がスポーツに関わり、どんどんレベルを上げています。
先日のヨーロッパスーパーカップではバイエルンのグアルディオラ監督は新たな戦術を導入し、サッカー会に新たな変化を与えようとしてくれています。
日本もこのような変化にしっかりと対応するために日々勉強ですね。
インテンシティのことは次回お伝えしようと思います。
それでは。