Uno,Dos,Tres

スペインでサッカー指導者として活動する坪井健太郎のBlog

スペインの厳しいシステム 〜タレントは磨かれてアスリートに〜

今日は。

バルセロナは先週よりもより一層冷え込んで冬に入ったようです。

先々週までのあったかさが嘘のような気候です。

さて、先週末のゲームは1位のチームを相手に4-2で敗戦。

良いゲームをしましたが課題も見えた試合でした。




さて今日はひとつスペインサッカーらしい話題を。

みなさんもご存知の通り、スペインは日本と異なり移籍が自由なルールです。

それ故、選手の動きも激しいところがあります。

今日の練習をもってチームから離れた選手がウチにもいました。

その選手は能力はあったのですが、取り組みがイマイチでチームにとって悪影響を与えてしまってした選手でした。

結果的に試合に出る機会は減り、自ら退団を選んだのです。

ポテンシャルはレギュラー、でも姿勢が伴っていなくて出場時間無し。

みなさんはこの様な選手に対してどうマネジメントしますか?

確かに答えは無く、チームが置かれた状況によって変わってきます。

因みに僕もスペインに来た当初は、このようなケースは退団するのは勿体無くチームに居続けて人間性が向上するのを待つことが理想的だと思っていました。

むしろ指導者としての役割はそれだと思っていましたし、「指導者」としてはそうあるべきだと思います。

しかしながら、こちらへ来て7シーズン目を迎えると多少視点も変わってきて退団のようが皆にとって良いということもあるという考えをするようになったのです。

指導者と監督は役割が少し異なります。

まず、最初に僕のいるクラブは競争が激しくカタルーニャではバルサとエスパニョールに次ぐハイレベルなクラブでこの様な選手の代わりはベンチに何人か居るという環境です。

ですから、何がなんでも引きとめなければ戦力がガタ落ちするということはありません。

また、チームの掲げる目標も集団が100%機能しないと達成しないところに置かれているのでこの様なケースでは、メンタリティが伴わない選手は淘汰されていくのが当然ともいえますし、その方がチームにとってはメリットがあります。

厳しい言い方をすれば「居るべき選手ではなかった」ということです。

彼が去った後のミーティングでも他の選手もそれは理解していますし、昨年もこのような事が起こった後にはトレーニングの質も向上し結果も付いてきました。

監督としては、率いる集団で最高の結果を得ることが仕事ですからこのような選択は正しいと見ることも出来るのです。

一見、冷たい様に見えますがこれが「プロに行き着くための健全な競争」だと僕は思っています。


そしてスペインの良いところは、この様にしてレベルが合わない選手も移籍をして活躍するチャンスがある環境が整っているのです。

ただ厳しいのではなく、救済措置も取れるシステムがある。

これは、スペインが世界チャンピオンになった秘密のひとつだと思います。

タレントが適正な競争原理の中で磨かれていく。

こうしてトップに行き着いた選手は本物のアスリートたちなのです(その様な選手にお目に書かれるのはほんの一握りの人間です)。

ただ上手い選手ではなく、身心共にたくましい本物のフットボーラーはこのような環境に寄って産まれてくるのだと改めてスペインサッカーの厳しさや奥の深さを感じる出来事でした。

皆さんはどうお考えでしょうか?