Uno,Dos,Tres

スペインでサッカー指導者として活動する坪井健太郎のBlog

レアルマドリー戦から

こんにちは。

今日、11月3日月曜日はスペインバルセロナは祝日です。

でも、残念ながら雨で残念な天気になっています。

11月だというのに昼間は半そででも十分な気候はどこかおかしいものを感じさせるのですが、この雨で一気に秋を通り越して冬になってしまうのかもしれませんね。




さて、SNSでも少し発信をしていましたが先週の水曜日には国王杯があり僕が所属するUEコルネジャのトップチームは抽選で見ごとにレアルマドリーを引き当てその第一戦がホームで行われました。

普段使っているスタジアムは1500人の収容ということもありレアルマドリーを迎えてゲームをするにはキャパがどうしても不足していましたので、真となりにあるRCDエスパニョールのホームグラウンドのPower8スタジアムをお借りして開催させていただきました。

収容人数は5万人を超え、広告の施設もしっかりしていますしエンターテイメントとして充実した試合をするには十分なスタジアムです。

カタルーニャ内には2万人を超えるレアルマドリーファンがいるということもあり、試合当日はマドリーホームなのでは?と思わせるほど白い、ところどころピンクや黒も、シャツを身に纏った人々が駆けつけました。



試合当日は3万を超える観客が集まり素晴らしい雰囲気の中ゲームが始まりました。

僕は比較的ピッチから近いマドリーベンチの真裏で試合を見ることができ、近距離でしか気づくことのできないいくつかの点がありました。



見た目の体つきから違うマドリーの選手

まず初めに驚いたことは彼らの体つきです。

普段はテレビでしか見かけることのないレアルマドリーの選手ですので、細いのではないかと誤解していた選手達が何人かいました。

はっきり言えることはあのレベルになるとアスリートとしての体つきは一般人のそれとはレベルが違います。

例えば意外だと思ったのは、元スペイン代表のアルベロア



TVで見ていると一見細いように見える選手ですが、実際は違います。

柔道家のようなまさに「ゴツイ!」と言える体つきで、やはり世界のトップアスリートというのは「基本的に横幅がある」体つきなのだと実感しました。

イスコ、ハメス、チチャリート、共に細く見える選手たちも実物を見るとがっしりした体つきをしていますし、その中でも群を抜いていたのはバランとケディラです。




190センチ近い身長で加えて大木のような横幅でまさに「熊」、いや…スペイン人的表現で言えば「家具」(笑)

そんなタンスのような選手にコーナーキックで突進されてヘディングされたらゴールされるのも当然です。

対する3部リーグのコルネジャの選手たちは170センチ代がほとんどで横幅は一般人よりも少しゴツイくらい。

190センチ級は2人いますが、それらの選手が普通に見えるくらいでチームのコントラストは「プロvsアマチュア」という表現が見た目ですぐにわかるくらいです。



大きくても自然体な動き

そしてさらに驚くべきなのは、レアルマドリーの選手達の動きです。

一言でいうなら自然体

ナチュラルで無駄が無いというのでしょうか、水のような空気のような動き。

アップでロングボールを蹴っていても、力みのないアクションからスパーンと美しい軌道のキックが驚くような距離まで届きます

且つ、「速さ」という視点でも動物的な身のこなしで狭いエリアを抜け出すチチャリートやベンゼマの身のこなしは圧巻でした。

方向転換の速さ、ストップ、そして原則からの再度の発進などがコルネジャの選手とは全く違うのです。

それがただ速い、強いといっただけでなく無駄がなく軽く美しいのです。

ここで一つの疑問が思い浮かびました。

なぜこのような動きが可能になっているのか?

あのような熊ような体格の人間がどうしてあんなにしなやかに動けるのか?


しかしながら、この疑問は一つの間違ったパラダイムから出てきているとも考えられます。

通常私たち、とくにスポーツの世界では、大きい=鈍い小さい=素早いといった変な刷り込みがあると思います。

みなさんも少なからずこう考えたことはありませんか?

しかし僕の中でこの仮説は見事に覆されてしまったのです。

事実、日本人は小さくて機動力があると思っている部分はありますし、実際僕もスペイン人とサッカーをしていて日本人はスピードがあるということを感じることはあります。

ただ今回のゲームで分かったことは、それは一般人のことだけであり一流のアスリートになると日本人のメリットだと思い込んでいる俊敏性や身のこなしはヨーロッパ人であろうと備えているということです。

大きくてもしなやかで動物的な動きができるという事実を見てしまってからにはどうしようもありません。

さて、次の段階としてどうして(どうやったら)このような動きができるのか?ということです。

トップアスリートですから「そのような人間」であることは事実で、プロスポーツ選手はその星のもとに産まれた人間です。

誰もがクリスティアーノ・ロナウドのようになりたいと思っていますがなれないのです。

いくら一流のコーチについてもらって、最高級の環境に身を置いても、そのような素質を持った人間が居なければ無理な話なのです。

多少夢のない話になってしまいますが、資質の備わっていない人間はどうやってもトップアスリートになることはありません。

だからこそ、世界のトップクラブはその「素質」を見つけようと必死なのです。

すこし話がそれてしまいました。

レアルマドリーの選手たちはもともとアスリートとしての才能がある選手達ですから、余計な力みがなく一般人とは違うレベルの動きをすることができることは事実です。

ではなぜあそこまで体が大きくなるのか?

プロクラブですから、栄養面とコンディショニングの管理がアマチュアとは違いがあることもファクターとして挙げられますが、ハイレベルの動きによって体が自然と大きくなったことも大きいでしょう。

チャンピオンズリーグのトップに君臨するだけの動きを強いられるからこそ、自然とそのような体になっているのでしょう。

そう考えると、人間(動物)としての能力を最大限に引き出す環境にあるからこそ出来上がった見た目としての体つきというのが、その時の僕の見解でした。

昔の理論のパワーは無いよりはあった方がよく、それを作り出すための筋トレをガシガシ行うといったものとは異なります。

そのような流れとは反して近年では、「サッカーはサッカーを通して能力を向上させる」といった視点から、実際のシチュエーションとは違うとされる「マシンを使ったウェイトトレーニング」は否定されている傾向にあります。

そしてさらに近年の理論では、また違った視点でウェイトが見直されているようですので、興味深いことであります。

人は唯一無二の存在で特徴を持っていますので、ウェイトが合うまたは合わないということもありますから、答えが存在しているわけではありませんし、サッカーは数値では測れないことが大きな意味を持っているという側面を持っています。

しかしながら今まで考えていたことがひっくり返るというののは本当に面白いことですし、だからこそ日々追求をしなければあっというまに取り残されてしまいます。

どちらにしろ、一流と超一流の違いを生み出している違いがとても気になりますね。

是非ともみなさんと情報交換できれば幸いです。