Uno,Dos,Tres

スペインでサッカー指導者として活動する坪井健太郎のBlog

指導者として持つべき「明確さ」

こんにちは。

今日は、先日参加したSayFootから感じたことを書こうと思います。

まずは、みなさんの中でSayFootのことを知らないという方もいらっしゃると思うので簡単に紹介します。

SayFootはバルセロナの日本人サッカー関係者が集まるグループで、個々のレベルアップのために活動をしています。

https://www.facebook.com/pages/SayFoot/395887067109346

2011年の1月に活動をスタートし3年が経とうとしています。

始めは少人数でしたのでBarに皆が集まり座学形式で意見を交わしディスカッションをすることから始まり、今は10人前後というように人数も増え毎回ピッチ上での指導実践という形に変わっています。

参加者の中から指導者役を担当する人が立候補し、他の参加者は選手役となりセッションを進めていっています。

そして、セッション後はみんなで話合いをしてトレーニングについての反省会を行います。

ここでは、セッションの内容・オーガナイズについて良かったところや改善したほうがいいところを参加者が選手視点や指導者視点で意見を交わしあいます。

選手役で参加しても学びがありますが、個人的には指導者役をやった時の方が学びがあります。

自分が気づいていなかった点を指摘されますし、自分が持っていなかったアイデアをもらえることがあり気づきの場としては本当に最適の場所です。

今回は選手役として参加しましたのでそこからの気づきをお伝えしたいと思います。



指導者としてもっているべき「明確さ」の重要性

SayFootは海外で活動している日本人指導者が集まる場所で、各々スペインで過ごす時間が異なる人間が集まっています。

スペインでスペイン人に対してある程度の時間と、特に第一監督をした人が得る教訓がひとつあります。

それは、「指導者として選手に対して明確に示す・伝えることが大事である」という点です。

例えば、サッカーにおいてはToma de Decision(判断)が存在します。

選手はいくつかの選択肢を持ちながらプレーをするのですが、スペイン人指導者は割とダイレクトに「こういう時はこうしろ」というようにダイレクトに支持をします。

日本であれば一見このような指導は「型にはめる指導方法」だったり「教えすぎ」というように言われてしまいがちでしょうが、実はスペイン人の選手にとってはそれはちょうどいいコーチングなのです。

これは大きく2つの理由が挙げられます。

ひとつは、スペイン人はこれくらいダイレクトに言っても伝わるのが半分だということ。

日本人選手に10伝わるであろうことは5しか伝わりません。

実はこれはいい意味で半分なのです。

彼は個性が強いというか、自分の考えを持ってプレーをしています(良く言うと自由で悪く言うとわがままです)ので、結構ダイレクトに指導をしてもちょうどいい響き具合なのです。

そしてもうひとつは戦術メモリーです。

日本人と比べると戦術メモリーが豊富なため、指導者から明確に提示されたプレーのオプションが「使えない」と判断した場合にはそのプレーを選択しないのです。

この辺の判断の良さはさすがだなと思わされますね。

もちろん、ここでさらに2回目のアプローチをしなければいけません。

それが本当に良い判断でプレーを辞めているのか、それとも勝手にできないと踏んでやって欲しいプレーができていないのかを指導者としては見極め評価をする必要もあります。

日本人選手であれば効果的でないのに指導者から言われたオプションを実行してしまうというミスを犯してしまう傾向にあります。

その原因はPAD(認識・分析・決断)+E(実行)のプロセスにあるのですが…

これに関しては、日本人の育成年代からはもう少し戦術に関する指導をして戦術メモリーを増やしていく必要はあると思います。

話が少し逸れてしまいまたが、スペインで監督をするのであれば「選手にしてほしいプレーはこれ!」というような明確なものを持つ必要があり、逆にそれが無ければ選手に自由にプレーされてしまいチームとしては機能しません。

そうなってしまえば、選手からはなめられてしまい余計にコントロールが効かなくなってしまいます(この現象も日本では起こりません。日本人選手は指導者を露骨になめてめちゃくちゃにプレーすることは少ないからです。これは「規律がある」という言葉を用いて海外の指導者は日本人選手のことを評価しています)。

もし、これから海外で指導者をやって行こうと思っている人がいればこの点は参考にして欲しい点で、人種によってはアプローチを変える必要があるということです。

スペイン人であれば、多少「型にはめる」アプローチをしても彼らは簡単には「型にはまってくれない」ので大丈夫です(笑)

もちろん、これはスペイン人に向けての指導法の話なので別の国であればまた違ったアプローチをする必要があるのは当然です。

しかしながら、日本人相手であろうと僕は「選手にこのようにプレーしてほしい」というものは指導者としては明確に持っているべきだと思います。

「サッカーに答えはない」ということを耳にしますが、僕は「チームが求めている答えがサッカーには存在する」と思っています。

これはいうならばプレーモデルとも言えるかもしれません。

チームとしての約束ごとに当たるものです。

例えば、チームの中心選手にボールを集めることが攻撃が機能するのであれば他の選手はその中心選手へのパスを探すことがまず最初の答えになるのです。

ここで大事なのはただ単にその選手が状況を解決してくれるということだけではありません。

チームの他の選手が「ボールが中心選手に渡ればチャンスが起こりやすい。だからその時にアクションを起こせばよい」というように11人の意図が一致しやすいということになります。

チームとして共有のイメージを持つことは現代サッカーにおいては大きなメリットを与えてくれますが、これにはプレーモデルの存在は欠かせないのです。

これも「明確さ」のひとつでありとてもチームを率いる上では非常に重要な要素です。



トレーニング中においての「明確さ」

では、トレーニング中において気をつけるべき点を挙げていこうと思います。

指導者としての選手への情報の伝達について。

トレーニングを行う前に指導者は説明をします。

ここでは、ピッチの大きさ、プレーする人数、フリーマンの人数、プレーできるゾーンに制限があるのか、タッチ数に制限があるのか、戦術トレーニングをしている場合はどこのポジションでプレーしているのか、など先に伝えておくべき点は明確に伝えることが重要です。

SayFootのセッションではこんなことがありました。

前の後ろに2つに区切ったゾーンで攻撃のトレーニングを行った時に、前に2人・後ろに4人という設定で攻撃をスタートさせます。

そして、プレー後のディスカッションで「どこのポジションを切り取った戦術トレーニングなのか?」という話題が上がりました。

「442」の中盤4人と2トップ、または「433」の4バックと中盤の2人によっては個々のプレーの仕方は全く変わってきます。

このように、先に伝えるべきことを伝えておかないとイメージがごちゃごちゃになってしまいセッションに支障をきたすこともありますので、説明は明確にしておく必要がありますね。



毎回、このように大きな気づきを与えてくれるSayFoot。

このような会があることに本当に感謝です!